コース:豪徳寺→世田谷城址公園→ぼろ市→郷土資料館→松陰神社

 12月15日(木)東急世田谷線山下駅より10名で出発。先ず井伊家一族の眠る豪徳寺に向かう。寺に着く頃には寒さの体もほぐれ、早速大老井伊直弼が眠る苔むす墳墓に掌を合わす。寺領内には、猫好きが詣る猫堂があり招き猫が多数奉納されていた。

 次に吉良家の居城であった世田谷城址公園に歩を進める。城址は石垣の空堀と雑木が残るのみで、大名の片鱗を見るに忍びないものがあった。

 さて本命のぼろ市が開かれる世田谷は、小田原と江戸を結ぶ宿駅として栄え、小田原城主北条氏政が市場税を免除して行商販売を認めた。当時は、農作業着の繕いや草鞋を編む時に使うぼろ布を売られたことからぼろ市と言われた。現在のぼろ市は大分様子が違う。古着とはいえ振袖、紬、帯等々高価なものもなんと多いことか。また数々の骨董品が並べられており、床の間があれば欲しいものが沢山ある。市には古い物ばかりでなく新品もあり、望遠鏡などはとてつもない安値で売られていた。近隣の小学校のPTAの店もあったが、人の波に押されてゆっくり見る事もできない状態。九州産の一杯100円の甘酒は実に美味しかった。そこから横道に逸れ、郷土資料館と豪壮な茅葺の寄棟造りの代官屋敷に入る。往時を偲ぶ庭、お白洲通用門があり、近くの大杉に鷹の巣を見つけた。早速購入したばかりの望遠鏡で覗く。

 ごった返しのぼろ市をやっと抜け出し、松陰神社へ。神社のグレーの大鳥居には圧倒された。神社の端正な佇まい、掃き清められた境内などまことに清々しい。松陰墓の前にある紅葉の美しさは、今も尚松陰を称えているようであった。松下村塾の雨戸は開け放されてよく見学ができた。また境内の絵馬は寒風に煽られからからと澄みきった音を鳴らしていた。因みに1万7千歩の行程であった。(報告 池田京子)

 

当日句より
木の股に納め猫置き年暮るるあきら
葉一枚落さぬ強さ冬柏京子
賽銭箱終の住処や冬の蠅岷子
ぼろ市の店覗く間も押されけりひとし
爪立ちしぼろ市の店覗き込み徹 
招福の猫が人呼ぶ冬麗利明
ぼろ市や突如鳴りだす鳩時計富彦
襤褸市の地べたに山の錆包丁美智子
ぼろ市の立木に吊す長襦袢 
松陰の墓に炎のごと冬紅葉吉和