蠟燭の火を線香に去年今年
寄り合うて稀に離れて福寿草
冬将軍寄せ来る波の総立ちに
雪卸す声を掛け合ふ上と下
軒氷柱細りて来たる雨気かな
軒離る音に遅れて氷柱落つ
落つる順あるかに軒の氷柱落つ
軒氷柱落つ一時にそれぞれに
海鼠の腹開く女の武骨な手
日面へ枝差し伸べて春待つ木
岩を打つ波音春の遠からじ
一湾の潮目際立つ春隣