寄せて引く波乱雑に冬の浜
雪吊りの縄百本に遊ぶなし
歳晩や時計屋の針ばらばらに
去年今年線香の灰渦のまま
足早の癖は直らず年の暮
湧き水の音の単調去年今年
有り無しの影を引きずる年の暮
手付かずのことの多しや三日過ぐ
速達で現況届筆始
風上へ舳先をまはす漁始
古傷に生傷重ね成木責
息つかず足音立てず雪女郎