お山焼の火照り総身に闇戻る
柊挿す猿ぼぼ揺るる深廂
夕鐘の響くまほろば日脚伸ぶ
足太き軍鶏の大絵馬風光る
春の炉の流れ座に聞く仕事歌
戻り来る鮊子舟や波蹴立て
濠巡る舟に播磨の若葉風
宝前に高張仄と春の暮
大鳥居残し引きゆく青葉潮
梅雨満月生絹のやうな雲纏ひ
砂浜にすがれの見ゆる残暑かな
新涼や小指ほどなる万華鏡
大屋根の反り美しき良夜かな
葛城の風に色づく大和柿
身に入むや絵巻に入鹿最期の場