足音に鯉の動きや水温む
引く波に音の無かりし桜貝
惜春や歩けさうなる海平
断崖へ総立ちとなる卯波かな
大き陽を押し上げてゐる夏の海
葭切の鳴くとき葭を撓めけり
一生は長く短し夕端居
大いなる佐渡を二分に天の川
雁渡る島の日暮れに声落し
笹鳴きへ一歩踏み出し耳澄ます
朱鷺の羽根黒ずみ始め山に雪
いにしへの路地の片減り冬すみれ
打ち返す波の重たき冬渚
風花を吸ひ込む祠磨崖仏
密やかにダムに枝張る冬桜