石鎚山のほのかに染まる初景色
楪の青き匂ひの奥座敷
残照の疎林遥かにのこる鴨
金鏤梅の先づ咲き初むる父祖の山
初蝶の合掌ながき拝み石
清明の雀のこゑも煌めけり
竹皮を脱ぐや錫杖遠こだま
朴散華父祖山までの追慕みち
花樗戻らぬものを待つゆふべ
散る花に風音に母想ひけり
雨を来し遍路に夏炉焚かれけり
閉め切つて母の残り香夏座敷
切株の円座の乾く神の留守
石鎚山の全容著き寒露けふ
山籟は神寄る音か里神楽