練香を焚き口切りの客迎ふ
大盥に雷魚息継ぐ池普請
笹鳴や父の硯の海広し
父母の亡きふるさとや雪のこゑ
餅を負ふ寒紅の子の一歩出づ
春近し母の手馴れの筬の音
良寛の托鉢道や蕗のたう
花の駅より人波に歩を合はす
すぐ変はる越の天気や種浸す
香を聞く障子明りに芽木の影
吊橋に初音ききたる国上山
菩提寺の仏具を磨く青田風
坂上の母の住む家木守柿
墨を濃く茶会記を書く千代尼の忌
客去りし躙口より秋の声