三代目座る轆轤座余寒なほ
ポケットに古砥部陶片水ぬるむ
永き日や廃線となるバスに乗る
蒲公英の絮となりゆく窯どころ
山の名を訊ねてをりぬ蝶の昼
巡礼の影映しては植田澄む
梅雨明のホールにピアノ調律師
弾薬庫廃墟に憩ふ草刈女
枇杷熟るる島や戸毎に一輪車
分校の草田男句碑や青檸檬
足踏のミシン健在夏山家
トライアスロンコース横切る秋の蝶
見はるかす忽那七島鯊日和
城山のよく見ゆる日や松手入
着ぶくれて縄文の土器眺めをり