老松に初東風とどむ黒木御所
今朝一輪ほのと書院に福寿草
去年今年煙添ひゆく日蓮寺
潮の香の強き藻屑や春北斗
手漕ぎ舟出でゆく浦に初音かな
花冷や地声の嗄るる文弥節
峠路の岩に添ひゆく苔清水
大佐渡に一文字刷きし夏の霧
河骨に暮色の迫る世阿弥寺
羽衣の舞の摺り足ちちろ鳴く
朝まだき早稲の香こぼる海人の道
奥佐渡に浦がいくつや鰯雲
秋彼岸石仏胸に草履懸け
牡蠣殻の崩れて小さき音たてり
鰤揚り鬼太鼓跳ねる浦の昼