沙羅双樹芽吹き初めたる発心寺
梅香る芭蕉・樗堂の合せ塚
満員の坊つちやん列車建国日
陶板に手形を押して卒業す
開け放つ艇庫吹き抜く花菜風
春潮や藻屑塗れの舫ひ綱
天近く棲みて老いたる桜守
葉桜となりて終日風のこゑ
巡礼に水の匂ひの青田風
青葉潮膨らむ此岸童子仏
涼新た陶土を叩く分厚き手
蒼天を背負ふ陶祖碑去ぬ燕
冬銀河切株に坐し窯火守る
窯よりも高く薪積み冬支度
子規句碑に十輪ほどの冬桜