神南備に日の差し初むる初景色
天神の梅のしづめる福茶かな
立春の菓子をこぼるる青きなこ
水辺にも寄りて野遊日和なり
ふくらます紙風船に薬の香
胡蝶花やだれかれとなく守る祠
殻を今抜けたる蟬の羽の色
根昆布のねばりを啜る大暑かな
向日葵や暮れ残りたる地のほてり
立秋のなかなかに濃き夕日差し
煮崩れぬやうに魚煮る厄日かな
釣瓶落し一樹に集く鳥の声
池普請鯉分け合うて終へにけり
松の葉と書きて届くる亥の子餅
つややかに豆の煮上がる小晦日