売 り声の夜通し絶えぬ達磨市
稲荷社に寒九の雨の音弾む
寒椿山肌ゑぐる火山灰の島
杣小屋に樏を干す日暮時
春隣もぐらの盛土あちこちに
脇本陣障子明かりの古代雛
張りぼての象先頭に花祭
手枕で休む庭師や日の永し
田植機のリズム良き音里日和
煉瓦舎の遺構眩しき白日傘
アイゼンの靴底軋む大雪渓
寝袋に独り占めする天の川
流燈をそつと手放す闇の川
軒に干す薬草匂ふ処暑の朝
山風に縺れて光る鳥威し