喜寿迎へ初金毘羅の駕籠に乗る
宝船敷きてうなされゐたりけり
潮鳴りのとどく故郷の初寝覚
初風呂に試す傘寿の力瘤
寒紅や灯ともし頃の先斗町
息白く駅長始発ベルを押す
かはたれの月を仰ぎぬ近松忌
里神楽果て居酒屋へ神と鬼
蓬髪をばつさり切つて卒業す
傷つけし机を撫でて卒業す
白地着て奏然自若装へり
一日を変へてみたくてサングラス
みどり児に小さき鞍置く茄子の馬
妻看取る月日流れてはや白露
鳥渡る試歩の介添してをれば