元朝のまづは手にとるシャベルかな
蠟梅の日差しかすかに咲きにけり
一枝の駅構内の猫柳
いそがしき雪解雫や峡日和
雪しろの大石越えて逆巻けり
暮れ泥むすいと寄り来る初蛍
塩屋埼海桐花の白く輝けり
散りしだく終の住処の栗の花
秋彼岸昔語りのいつまでも
爽やかや白雲のせし黒姫山
贈られし糸通し器や夜の秋
行くほどに野菊の束の増えにけり
夫の忌や高く上りし冬の月
大寒の川面煌く信濃川
校正の点訳句集春近し