こけし拭くひとつひとつの淑気かな
落柿舎の蓑笠揺らす春の鳥
上棟の吊りし柱や春の虹
紅の花素手で束ねる漢かな
東風吹くや荒磯の松の枝の張り
草むらに潜りて蛇の眼燃ゆ
普段着で鎮守の杜の盆踊
磨崖仏尋ぬる道の草紅葉
蔵王嶺の山ひだ深き四温晴
なかなかに動かぬ牛や夏木立
櫨紅葉蔵王の青きお釜かな
木戸開けて秋風入るる弁財天
小鳥来る茂吉学びし校庭に
寒林の奧の明るき日射しかな
夫踏みし樏径や句碑を訪ふ