こぼれ萩紅を極めて伎芸天
舳先へと止りなほして赤蜻蛉
名山をぬけきし水の走り蕎麦
水音を先達として紅葉狩
梵字めく鳥の足あと砂日傘
柴の煙たをやか牡丹焚く
子燕の習ひ飛びする蔵の前
雁来紅夕日に彩をゆづりけり
蛍籠吊せば闇の動き出す
椋大樹重き梅雨空押しあぐる
蓑虫の揺れて濃くなる山の影
高々と帰燕見送る親心
寒禽の声をとじ込む滝勤行
掛大根海鳴りに日々細りけり
樹木医の耳かたむける今朝の秋