気負はずに生きるときめて青き踏む
春めくや川藻のうねり濃くなれり
月の暈大きくかかり田螺鳴く
振るたびに音のふくらむ種袋
白きもの白くかがやき梅雨あがる
青芭蕉ふんだんに風あやつれり
刈昆布砂に筋ひき抱へ来る
手に触るる物みな熱き広島忌
鹿鳴くや飛火野暮色深めたり
鳳仙花突つ張り乾く祭足袋
鮎落ちて早瀬は力失へる
空まぶし掌よりはみ出す林檎もぐ
探梅行雲の流れに越されたり
軒深く宇陀の日のさす葛晒し
音ありてまだ凍瀧になり切れず