初凪の波光身ぬちに満たしけり
ゆるやかに年重ねたり粥柱
燻りのやがて焔や吉書揚
腰の辺に風を集めて土筆摘む
春光を蹴り込み轆轤廻しをり
教室の自画像あまた卒業す
篠の子や川風いつか山風に
玉虫を拾ひて故郷を離れけり
ねぶた果て綺羅星もとの位につけり
佇めばおのづと生るる秋の風
夕闇のふくれて星河なだれ初む
秋遍路荷を振り分けて急ぎけり
凍蝶の息ととのふる力石
神の留守厩の白馬立ち眠る
翁笛巌に沁みる余寒かな