林檎咲き明るくなりし麓村
遅桜城の中より津軽三味
三面鏡大きく開けて夏を待つ
海猫の群れ乗せてふくらむ夏の潮
夏菊の海へなだるる竜飛岬
草々の匂ひ濃くなり山瀬来る
酒樽を積んで出を待つねぶた舟
ねぶた果て岩木山に星と月戻る
烏賊干してみちのく長き冬に入る
一村の音の失せたる猛吹雪
みちのくに生まれて雪を怖れけり
古里の雪載せて着く寝台車
門前に津軽なまりの暦売り
あまめはぎ去りたるあとの藁匂ふ
太宰碑へ尽きる磯道恵方とす