曲水に鷺の降り立つ初景色
替ふる鷽頭を撫でて納めけり
病床の掌に福の豆三粒ほど
二月礼者双子抱きて来たりけり
風孕むまでの鎮もり滝桜
濹東のおぼろに荷風出てきさう
御柱曳く声嶺の昏るるまで
進水の爆ぜしシャンパン雲の峰
モンブランのペン先なじむ鷗外忌
あらかたは地に落つ音の零余子曳く
木村屋の餡パンの臍文化の日
鰯雲動くとみえず流れをり
友禅を流す手許に風花す
猟犬の声を嗄らして戻り来る
蝙蝠傘ロンドンで買ふ漱石忌