CDで聴く御貫主の声涼し
麦笛を吹いて離村の一家族
象一頭抜けられさうな大茅の輪
ちやんちやんこ着て真打の楽屋入り
仲見世に朝顔市の戻り客
山頭火ぬつと出さうな秋の寺
投光器据ゑて始まる里神楽
郵袋を背に樏を締め直す
病む母に少し開け置く春障子
漁終へて祭の笛を吹いてをり
鶴引いて鶴守一人残りけり
入園の子に七曜の始まれり
鶯の初音に法話聴き逃す
金輪際動かぬ蟇の面構へ
胡同の路地を出て来し蝗売