初漁の藁吊りの神饌滴れり
粥占の筒切り分くる肥後の守
大的の裏に鬼の字弓始
薄氷や逆さの富士の散りぢりに
緑摘む離宮の空に梯子かけ
逸りたつ引つ詰め髪や三社祭
ガラス吹き宙に玉なす江戸風鈴
空蟬の爪先までの力みかな
西域へオアシスごとの綿の花
透きとほる声ひきつれて真鶸来る
古伊万里に見栄を切りたる鬼虎魚
琅玕にまとはりつきし寒さかな
冬ともし半歩踏み出す菩薩かな
時雨きて旗戦めく賤ヶ岳
雨どどと閉ざす竹生島の神迎