「俳句文法」入門 (14)          
─ 形容詞について ─             大林明彦 

干大根陰も日向も曲るなし棚山波朗
元日の昼過ぎにうらさびしけれ細見綾子
 形容詞とは自立語(単独で一文節を作る)で活用があり、述語となれる語のこと。状態・性質・感情を表す。「し」で言い切る。活用はク活用とシク活用とに区別する。連用形に「なる」をつけてみて、「し」が入るのがシク活用。美くなる。うれくなる。悲くなる。入らないのがク活用。よくなる。高くなる。つらくなる。面白くなる。多くなる、等。

 

 

 活用表中の左側をカリ活用という。連用形にラ変動詞「あり」がついて、—かり、—しかり、となったもの。ラ変型の活用をする。多く助動詞が続く。

 

 

波の花つぼみといふはなかりけり棚山波朗
 結語は「かり」でなく「し」にしたい。已然形も可。
冬青空大嘗宮の木の香濃し蟇目良雨
満開になりても淡し冬桜坂﨑茂る子