9月7日からの3日間、清人さんの尽力で、鎌倉句会気仙沼吟行が行われました。丁度最終日は台風に見舞われ、心配されましたがなんとか無事に済みました。気仙沼大島大橋の完成を喜ぶと同時に、津波の大震災の復興を気遣う吟行でもありました。つくづくと感じたのは東北人の粘り強さと、同胞を思いやる結束力の強さと絆でした。

 初日は一ノ関到着後小野寺兄弟(清人さんと弟一砂さん)の車で名勝「岩井崎」潮吹岩・龍の松・気仙沼東日本大震災遺構・伝承館(旧気仙沼向洋高校)を見学。高校の校舎の四階に迄達した津波のすさまじさ、校舎に飛び込みひっくり返ったままの車の残骸、破壊されつくした校舎の内部、そうした中で、職員生徒全員が無事だったと聞いた時はほっとした気持ちになりました。見学後完成した大島大橋を渡り大島へ。霧の中を亀山に登り、龍舞崎を見て、島を一周後宿へ。夕食は宿自慢の魚料理、海鞘・海胆・鮃・鯛・つぶ貝・アイナメ等々が盛沢山。夕食後一回目の句会。

 翌日は霧も薄れ、島の峠越えをして牡蠣養殖施設を見学。船に乗り牡蠣筏を見学。破壊された養殖場がここまで回復したのかと驚くばかり。東北人の逞しさを感じました。立派に完成した大橋を湾から見上げた時は感激しました。昼食は一砂さんのご自宅にお邪魔してバーベキューのもてなしに与りました。ここで驚いたのは清人さんの兄弟愛・友人愛でした。同級生他色んな人が次々と集まってきました。海鞘で充分満足し、鮪の心臓・胃袋の切り身も珍味でした。座敷に上がり一砂さんの市役所時代の震災復興への国・県・市の関わりの苦労話もしみじみと聞き入ったことでした。宿までの車の見送りを断り、迷いながら宿迄吟行したのも良い思い出です。夕食後二回目の句会。

 三日目は朝食前、魚市場へ。丁度台風を避けて寄港を速めた鰹船が水揚げの真っ最中。大漁で吃水線を下げた鰹船から次から次へとベルトコンベアーで運ばれた筋目も鮮やかでぷりぷりした鰹がトロ箱に積み上げられていました。めったに見られない現場を堪能しました。朝食後宿を発ち、岩手県一ノ関市の蔵元「世嬉の一」へ。大正7年創業で島崎藤村・井上ひさしゆかりの酒蔵と言う。昼食後三回目の句会。終了後スケジュールを全てこなし、所定の列車で帰京。充実した三日間の吟行の旅でした。
 気仙沼大島頑張れ。
 「報告 中島八起」

今回の吟行句から
身に沁むや被災に耐へし龍の松 
登高や復興の湾一望に静男
津波跡著き学舎秋あつし八起
海霧深し濡れて滴る海難碑恵子
人の名の猫が来てゐる秋の昼清人
水揚げの鰹刃金の響きあり 
集魚灯おろし港の秋刀魚船春枝
牡蠣筏海水で呑む試し食ひ直江
青柿や島の小さな駐在所 
根魚汁熱きをすする野分かな一砂