11月8日、東急大井町線九品仏駅に集合、小春日和の天候に恵まれ「橋本句会」の吟行が行われた。

 まず、九品仏「浄真寺」へ向かう。浄真寺は、浄土宗有数の大寺である。本堂に向き合う形で、上品堂、中品堂、下品堂の三堂があり、各堂には、それぞれ阿弥陀如来像が三体ずつ安置されていて九品仏と言われている。4年に一度「お面かぶり」の行事が行われることで都内でも有名である。整備された参道を通り、総門をくぐると、六地蔵尊に迎えられ打って変わって静寂な境内に心清められる。都の天然記念物の銀杏や、榧の大木を見ながら、上品、中品、下品の三堂の阿弥陀如来像を参拝する。沖山先生の草花や樹木等の説明に聞き入りながら浄真寺見学を終えた。

  次に、大井町線で等々力駅へ向かう。次の会場は等々力渓谷と等々力不動尊である。駅から程近い階段を下りると、谷沢川の清流に沿った遊歩道が迎えてくれる。めずらしく水量の多い川に沿って進み、頭上を横切る環状八号線の下をくぐる。途中、横穴の古墳を見学、その後、「等々力」の地名の由来となった「滝」を見ながら、階段を上って「等々力不動尊」に到着。区内有数の桜の名所である不動尊の「観桜台」からの眺めを楽しみながら吟行を終えた。

 懇親会は、駅近くの蕎麦屋でいつもながらの和やかな雰囲気の中、時の過ぎるのも忘れて楽しい会となった。(報告 祢津あきら)

当日句より

奪衣婆に睨まれてゐる寒さかな吉和
山茶花や不動の滝の水細る敏江
等々力の渓のざわめき冬めける季男
冬初め一尊旅の九品仏瑞子
綿虫を連れて拝せし上品堂あきら
木洩れ日を集めて淡き返り花令子
冬滝のふたすぢ落つる音かすか久子
梵鐘の沁み入る響き神無月惠子
冬空にもろ鳥抱きて榧大樹由紀子
散紅葉捲かれ捲かれて水底に眞智子
渓谷に影を残して初時雨紀美雄