第41回のすみれ句会は5月25日総勢8名で神奈川県大磯町にある鴫立庵へ行った。JR大磯の駅構内には燕の巣が何か所もあってしばし燕を眺めた。駅から7分ほどで鴫立庵に到着。

 鴫立庵の名称は1143年西行が大磯を訪れたときに詠んだ「心なき身にもあはれはしられけり鴫たつ沢の秋の夕暮」という歌にちなんでいる。
 1664年頃、小田原の崇雪という人が、石仏の五智如来像をここに運び草庵を結び、初めて鴫立庵の標石を建てたといわれている。如来の五智石像も、鴫立庵の標石も庭内にそのまま残っている。
 その後30年後ほど経って紀行家であり、俳諧師の大淀三千風が庵を再興して鴫立庵の第一世となった。現在は鍵和田秞子氏が第二十二世現庵主となっている。庭内には第一世から二十二世までの庵主の墓碑、句碑、記念碑が建っている。
 また庭内には円位堂があり、等身大の西行法師の座像が安置されている。法虎堂には、有髪僧体の虎御前19歳の姿を写した木像が安置されている。

 鴫立庵から徒歩1分のところに照ヶ埼海岸がある。ここからは松並木越しに雪解富士を見ることができる。浜では投げ釣りの人達がいる外は、あまり人がいなかった。砂浜に佇んで、押し寄せて来る白波の音と波の美しさに圧倒された。
 ここはまた「大磯照ヶ埼の青鳩集団飛来地」なので、目を凝らして青鳩を探したが見つけることができなかった。ちなみに「青鳩」は季語であるが歳時記では例句が一つしか見当たらない。
 浜から来る湘南の風が吹き抜けて行く鴫立庵の一室で句を作った後、句会を行った。
「報告 山岸美代子」

当日句より
夏蝶や今在るやうに虎御前ふみ江
立ち上がる卯波の内のみどりなる美代子
五智如来夏萩小さく走り咲く朝実
投げ釣りの竿立ち並ぶ浜薄暑千枝子
円位堂青葉の風の清すがし久子
釈迦如来下で行きかふ蟻の列閏江
新樹光潮風届く鴫立庵靖子
海道のバイクの列や夏の風