「俳句文法」入門 (18)
─ 文語文法と口語文法について─ 大林明彦
口語と文語とをブレンドした美しい文体を私は志向するが時に口語を文語文法に則った古語に直されると違和感を持つ。そういう声もよく聴く。たとえば駆けるが駆くると直された時。文語文法では、駆け、駆け、駆く、駆くる、駆くれ、駆けよ、とカ行下二段に活用するが、口語文法では、駆け、駆け、駆ける、駆ける、駆けれ、駆けろ、と下一段活用となるのだ。跳ぬも口語では跳ねる。寄すも口語では寄せる。見ゆは見える、出づは出る、食ふは食べる…等。文語の下二段活用は口語ではすべて下一段活用となるのだ。古典文法に則り文語を採用している結社は多いが、「春耕」は口語の使用を新味として寧ろ生かしてはいまいか。主宰の選句にそれは現れているのではないか。口語的例句。
待ち人来噴水にもう倦きる頃杉阪大和
文語の九種類の活用は口語では五種類になった。
口語を全て文語に直すのではなく原作者の意図に添う事も大事か。
主宰の選句の心遣いもそこにあると拝察する。
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