曾良を尋ねて(132) 2020年8月号
2020年8月1日 曾良を尋ねて
対馬藩の巡見は曾良である岩波庄右衛門が詮議することとなったが対馬藩の対応は実に不誠実であった。しかし岩波庄右衛門は対馬藩が朝鮮貿易で莫大な利益を上げていることを見抜いていた。
古典に学ぶ (85)源氏物語2020年8月号
2020年8月1日 古典に学ぶ
帝と桐壺更衣の今生の別れの場面のまなざし② 世間の非難に逆らい、世評に抗って二人だけの純愛を貫いてきた帝と更衣であったが、その二人の別れの場面は、最後の最後で、「言えない」思いと「理解できない」思いとにあえなく引き裂かれてしまうのである。
はいかい漫遊漫歩(140)(141)2020年8月号
2020年8月1日 はいかい漫遊漫歩
僕(註:歌人、岡野弘彦)は丸谷さんに生前に墓碑銘を書くことを頼まれたのですが、表が俳号の「玩亭墓」だけなんですよ。びっくりしました。ここまで丸谷さんは俳句に徹していたのかと。 1970年、詩人の安東次男さんが大岡信さんと丸谷さんという、当時の若手の二人に歌仙を巻こうと声をかけて、歌仙の会が始まりました。安東さんの没後に岡野さんが入られ、大岡さんが体調を崩されて僕(註:俳人、長谷川櫂)が入って、丸谷さんが亡くなって三浦雅士さんが加わり、今も月1回の頻度で続いています。
韓の俳諧(18)2020年8月号
2020年8月1日 韓の俳諧
日清戦争を題材とする俳句は、さいたま市の指扇氷川神社に、「従軍賀章」という題の明治26年(1893)の俳額にある。『俳諧山吹叢誌』にも多数あるが、大部分が戦争を体験していない机上の俳句だ。しかし、大供太郎の陸軍少佐が父母庵雪山の配合で「國廼光」として投稿した句は、実戦を元としている。子規は日清戦争に従軍したが、すぐに終戦となりかえって病を悪化させて帰国した。そこで漱石の下宿に厄介になり、新聞に「俳諧大要」を連載した。
四季の野鳥 (5) 2020年8月号
2020年8月1日 四季の野鳥
秋を代表する鳥、雁には「がん」と「かりがね」の2種類の呼び方がある。色々調べると、江戸時代にがんは一般呼称、かり、かりがねは雅語として扱われるようになった。
自由時間 (85) 2020年7月号
2020年7月1日 自由時間
いま、アルベール・カミュの『ペスト』が読まれている。ペスト菌を新型コロナウイルスに置き換えると、世界各地の現状を描写したかと錯覚するほどだ。明けても暮れても新型コロナウイルスのニュースがあふれている今、思い出した作品がある。トーマス・マンの『ヴェニスに死す』である。『ヴェニスに死す』に登場する疫病はコレラである。