四季の野鳥          
  燕(巣立ちまで)    勝股あきを 

 私の最寄り駅前の交番の自転車置き場に燕が毎年営巣する。数年前に所属する地元の野鳥の会で燕の巣の調査をしたときに、私の担当した巣の一つがこの交番である。
 燕は三月頃から姿を見せ、先ず雄が場所を物色する。なるべく人の気があって燕にとっては安全な場所を探す。良さそうな場所に古巣がないときは壁などに泥をつけて巣を新たに作る。この交番のように古巣がある場合は、以前雛が飛び立ったときに崩れた部分などを修理し、新しい藁を敷いて巣が完成する。その前に雌を見つけて雄雌の共同作業である。巣に一日に一個ずつ五個前後の産卵後に抱卵二週間、育雛三週間位で巣立ちになる。生育の違いがあるが、全雛が揃った、ある晴れた朝、一斉に姿を消して葭原の生活に移る。
 燕の語源には諸説があり、貝原益軒は「つちはみ」(土食)からとし、新井白石は「つば」(光沢)「くら」(黒)「め」(鳥)、大言海は鳴声から「つばくら」としている。
泥点々作り始めの燕の巣棚山波朗
僭越ながら拙句を
巣の子らへ雨衝いて飛ぶ親つばめ勝俣あきを