四季の野鳥 (11)         
 鶯    勝股あきを 

 鶯は春の先駆けとして親しまれ春告鳥とも呼ばれる。早春の2月の頃になると平地の林の繁み等に現れ、ホーホケキョと囀る。またこの頃には梅も開花するので、昔から「梅に鶯」と言われるが、鶯が特に梅の花を好む習性があるわけではない。私の感じでは、「鶯色」をした目白が花の蜜を好むので、これを鶯と見誤っている面もあるのではないかと思う。羽の色は緑がかった褐色で地味。
 「うぐいす」の語源については諸説あって、はっきりしない。新井白石は「う」について「むらがり生えているところ」とし、「う(藪)に巣を食ふ鳥」としている(東雅)。しかし「うぐひす」は鳴声による名であるという説が昔から有力であるという(図説日本鳥名由来辞典)。
うぐひすの鳴声を「ひとく」とも聞き做したようで『古今和歌集』では鳴声の「ひとく」を人来(人が来る)にかけている由(前掲書)で、傍題に「人来鳥」もある。
鶯に終日遠し畑の人 与謝蕪村
雀より鶯多き根岸哉 正岡子規
対岸の模糊に鶯うつりけり 飯田蛇笏
鶯や前山いよよ雨の中 水原秋櫻子
鶯のけはひ興りて鳴きにけり 中村草田男
野鍛冶屋に鶯の声昼餉どき 皆川盤水
鶯のこゑ前方に後円に 鷹羽狩行