春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

古典に学ぶ

伊勢物語の面白さを読む(33)2017年4月号

紫式部は物語の枠組み作りに際し『伊勢物語』をさまざまな形で積極的に利用していることがわかる。『伊勢物語』が描いた昔男の青春の行跡は、光源氏の青春の日々を描くための、この上ない参考資料となっている。まさに、『伊勢物語』の存在なくして『源氏物語』は描かれ得なかったといってよい。そして、紫式部が先行作品として愛好した『伊勢物語』を、千 年後の我々も同じように楽しんで読めるということは、なんと幸せなことであろうか。

伊勢物語の面白さを読む(32)2017年3月号

『源氏物語』が『伊勢物語』の設定を取り入れていると見られる例は他にもある。たとえば、若紫の巻で源氏が幼い紫の上の姿を垣間見する場面は、明らかに『伊勢物語』初段を下敷きにしている。

伊勢物語の面白さを読む(31)2017年2月号

『伊勢物語』の初段を元服したばかりの昔男が正妻となるべき女性に出会った話と読み、それ以後第十五段までを、后がねの姫君との大恋愛の末に、都を追われて東下りの旅に出、別れてきた恋人や妻のことを思いながらも旅先で現地妻を得たりするという、恋と漂白の物語として読むと、色好みの貴公子昔男の青春の日々を描いた印象的な物語として読者に迫ってくる。

伊勢物語の面白さを読む(30)2017年1月号

から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思ふ 昔男に「かきつばた」の五文字を折句(おりく)にして旅の心を詠めと言ったその人こそ、紀有常だったのである。有常は昔男の妻の父であり、舅に言われてはさすがの昔男も恋人ではなく妻を恋うる歌を詠まざるを得なかったというわけなのである。

伊勢物語の面白さを読む(29)2016年12月号

『伊勢物語』にはこのような章段を含めた麗しい友との交流を描いた章段が多数あるが、その中でも紀有常との関係は特に親密で、舅と娘婿の関係をはるかに超えた深い友情で結ばれた間柄であったことが想像される。第十六段はそういう関係を鮮明にした章段なのである。

伊勢物語の面白さを読む(28)2016年11月号

いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬべきかな むかし、男、いとうるはしき友ありけり。かた時さらずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れにけり。

伊勢物語の面白さを読む (27) 2016年10月号

回に続く話(第八十二段、渚の院)がまだある。 かへりて宮に入らせたまひぬ。夜ふくるまで酒飲み、物語して、あるじの親王、酔ゑひて入りたまひなむとす。十一日の月もかくれなむとすれば、かの馬の頭のよめる。 あかなくにまだきも月のかくるるか山の端は逃げて入れずもあらなむ

伊勢物語の面白さを読む (26) 2016年9月号

惟高親王、歌をかへすがへす誦(ず)じたまうて、返しえしたまはず。 紀の有常、御供に仕うまつれり。それが返し、 ひととせにひとたびきます君待てば宿かす人もあらじとぞ思ふ

伊勢物語のおもしろさを読む(25)2016年8月号

『伊勢物語』 第十六段に登場する紀有常という人 有常は次のような手紙を書き、事情を話すのである。思ひわびて、ねむごろにあひ語らひける友だちのもとに、 「かうかう、今はとてまかるを、なにごともいささかなることもえせ、つかはすこと」と書きて、奥に、 手を折りてあひ見しことをかぞふれば十とをといひつつ四よつは経へにけり

伊勢物語のおもしろさを読む (24) 2016年7月号

東国章段に続く十六段に登場する紀有常 むかし、紀の有常といふ人ありけり。三代のみかどに仕うまつりて、時にあひけれど、のちは世かはり時うつりにければ、世の常の人のごともあらず。

伊勢物語のおもしろさを読む (23) 2016年6月号

東国章段の後日段  むかし、男、すずろに陸 みち 奥の国までまどひいにけり。京に思ふ人にいひやる。浪間より見ゆる小島のはまびさし久しくなりぬ君にあひ見で

伊勢物語のおもしろさを読む  (22)  2016年5月号

おきのゐて身を焼くよりも悲しきはみやこしまべの別れなりけり

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