春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

日本酒のこと

「日本酒のこと」(24) 2022年12月号

酒母造りの肝は乳酸菌を生成することです。最も伝統的な方法が「生酛(きもと)造り」であり、これは「山卸(やまおろし)」と云いますが、小さな桶に入れた蒸し米と麴米に水を足したものを櫂で何日もかけて混ぜて磨り潰す大変に体力を要する作業を行います。これにより天然の乳酸菌が出来上がり、この乳酸菌のもとでは清酒酵母菌以外の雑菌は死んでしまいます。

「日本酒のこと」(23) 2022年11月号

9月号の麴米造りに続き、今回は清酒酵母菌と酒母造りを説明します。日本酒の造り方を知ったからといってお酒の味が良くなる訳ではありませんが、お酒ごとの香味の違い等の理解の一助になるとともに、何よりも造り手への感謝と敬意の念が湧いてきます。

「日本酒のこと」(22) 2022年10月号

この季節になると各銘酒蔵の「秋の冷やおろし」の銘柄が店頭を賑わせています。これは、その年の日本酒をタンクで貯蔵した後、火入れをせずに出荷したお酒のことであり、ほど良く熟成した丸みのある香味と火入れしないことによる新酒の持つ爽やかさを兼ね備えています。そして、これからは秋も深まり紅葉酒や温め酒の季節となります。

「日本酒のこと」(21) 2022年9月号

日本酒造りには「一麴(いちこうじ)、二 酛(にもと) 、三造り」と云われる最も重要な作業工程があります。「麴」とは蒸米を糖化する役目を持つ麴米造り、また「酛」とは糖分をアルコール発酵する酵母菌を増殖する酒 母(しゅぼ)造り、そして「造り」とは酒母、麴米、掛け米、水をタンク内に仕込む醪(もろみ)造りのことです。

「日本酒のこと」(20) 2022年8月号

日本酒の成分の八割は水です。それだけ水はお酒の香味に大きな影響を与えるものであり「名水あるところ銘酒あり」と云われる由縁です。酒造りに使う水は「仕込み水」と呼ばれ、主としてお米を発酵させる醪もろみタンクに投入しますが、それ以外でも蒸す前の浸米とか原酒のアルコール度数を下げるための加水等に使用されます。

「日本酒のこと」(19) 2022年7月号

申し上げるまでもなく日本酒の主原料はお米です。そのお米のなかでも純米酒や吟醸酒等の高品質の酒造りには「酒造好適米」が使用されます。その主なものは山田錦や雄町(お まち) 、美山錦(みやまにしき)、五百万石等であり、皆様も名前は聞いたことがあると思います。

「日本酒のこと」(18) 2022年6月号

『春耕』6月号の届く5月下旬には「全国新酒鑑評会」の金賞受賞酒の発表が新聞やテレビを賑わせていると思います。この全国新酒鑑評会は明治40年に第一回が開催され、幾つかの変遷を経て今日に至っている最も歴史と権威のある日本酒のコンテストです。

「日本酒のこと」(17) 2022年5月号

酒販店や居酒屋で「甘口ではなく辛口の酒はどれですか」と尋ねるお客さんをよく見かけますがその理由は、昭和50年代までの日本酒の主流を占めていた甘たるくて悪酔いする「三倍増醸酒」の厭な記憶が根強く残っているからです。その当時に日本酒の救世主となったのが淡麗辛口の地酒であり、そこから甘口=不味い酒、辛口=美味な酒という構図が定着してきました。

「日本酒のこと」(16) 2022年4月号

既に何度も触れましたが特定名称酒である「純米酒」とラベルに表示するには、酒税法に定めた基準を満たす必要があります。その基準の一つに精米歩合(玄米を削り残った米の割合)があり、特別純米酒だと60%、純米大吟醸酒だと50%と定められています。しかし、純米酒にはこの精米歩合の基準がありません。

「日本酒のこと」(15) 2022年3月号

杜氏とは、日本酒造りの技能集団のトップであり、酒蔵の酒造現場の総責任者です。かつては越後や南部等の出身地ごとの蔵人が集団を結成して、農閑期の出稼ぎという季節就労として全国の酒蔵で働いていました。しかし、酒蔵数の急減もさることながら、出稼ぎ自体が過去のものとなったことから将来の杜氏の卵である蔵人の志願者が激減しています。

「日本酒のこと」(14) 2022年2月号

日本酒は日々進化しており、その最大の牽引役は「吟醸酒」です。地酒ブームが始まったのは昭和50年代後半であり、当時は高度な醸造技術を必要とする吟醸酒を造れる酒蔵は限られていました。そのような中で、日本酒に対し大変に失礼な言葉ではありますが「このお酒、ワインみたい」と、吟醸酒がこれまで日本酒と縁のなかった客層の心を摑んだことは確かです。

「日本酒のこと」(13) 2022年1月号

日本酒は古来より日本人の生活に深く根差した国酒であり、それだけに四季おりおりのお酒の楽しみ方があります。この雉子酒という季語を知ったことを契機に改めて歳時記を繰りお酒に関する季語を整理してみました。

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