成木責まだむき出しの去年の傷
流木のぶつかり合うて春を待つ
春めくや波の形に藻の乾ぶ
そこだけに山の日の射す雪間草
風折れの枝の生傷冬終る
春遅し不漁の海人の影絵めく
料峭や波に浮沈の離れ島
流れ来るものを焚火に磯開き
応ふるより呼ぶ声多し春の鳥
湧水の音の単純春浅し
身に余る寄居虫の宿すぐ転ぶ
藻の生えて寄居虫の宿空のまま