流木で舟小屋囲む神の留守
夫婦岩注連新しく神迎ふ
休む間を惜しむがごとく残る虫
まだ残る虫ほそぼそと声つなぐ
台風圏野猫しきりに顔洗ふ
冬耕や鍬に黒土こびりつく
浜千鳥用なき時も小走りに
波被る岩の浮沈や冬の海
立冬や使はぬ漁具に錆走る
漁のなき揚げ舟釣瓶落しかな
宙返る姿そのまま鵙の贄
間道の一段ごとに冬来たる