蟇目良雨 主宰 作品

葛餅
脱ぐやうに外すや母の春ショール
姉を見て育つおとうと蜆汁
山廬行
春雷の蛇笏龍太の声かとも
巣を作りながら燕の新娶り
宙返りして妻を呼ぶ燕かな
笛吹川の曲るあたりの風光る
放光寺
今生をしづめる桜吹雪かな
花筏水車の回るところまで
朝妻力氏句碑建立祝ひお返しの葛餅
句碑開きうれし葛餅またうれし
愛憎の愛の濃くなる春の闇
ゐぬ筈の妻へのびる手夜半の春
町ぢゆうに幣を垂らして夏めきぬ