蟇目良雨 主宰 作品

天下祭
江戸絵図の書肆の前ゆく神輿かな
城濠に映つて天下祭かな
若葉風抜ける稽古場ちやんこ喰ぶ
相撲部屋薄暑の午下を寝静まり
豆飯にひとすりかける能登の塩
如何にせん虞美人草の火の色を
手で蠅を摑んで見せる子らの前
八十八夜魚に軽めの塩を振る
地を刺してふるへる槍の薄暑光
胸の子が乳を欲しがる袋掛け
桑の実を取る老の身を伸ばし切り
八十はまだ青二才走り梅雨