一枝に声の集まる探梅行
公園の剪定の音駅舎まで
川下る船の灯見ゆる朧かな
裏山の木々のさざめき春立てり
古民家の奥を灯して雛飾る
なかなかに開かぬ踏切街薄暑
栗の花真昼の空を煙らせる
紫陽花の終の色うつ今朝の雨
桑の実や摘む人も無き母の里
天守より海くつきりと皐月晴
縫ふ糸の指にからまる残暑かな
手を振つて見送る母や秋の風
月白や富士の影置く湖静か
蓮の実の飛んで花托のがらんどう
もう誰も通はぬ山路冬紅葉