縫初や絹糸ピンと音立てて
雑木山空へ芽吹きの色重ね
新築の鑿音軽し春の昼
暮れてなほ空の明るし麦の秋
白神の橅より昇る雲の峰
羅の透けるクリスト銀の靴
時雨るるや軒を寄せ合ふ機屋路地
極月や月へ靴音尖りゆく