日だまりに糸ほどの風節分草
白魚の透けたるままに影もてり
連翹の朝の光に沸騰す
塩踏めば足に力や火を渡る
ここからは保育所といふ花の寺
川底を朝日ころがる立夏かな
美しき手に潰さるる藪蚊かな
噺家のさらりと脱いで夏羽織
蛇口から水飲む少年薬の日
炎天の若き工夫や耳飾り
お手網に触れて涼しき一日かな
校門を出て校長のサングラス
秋蝶の止まりなほして同じ向き
発車まで毟るズボンのゐのこづち
コスモスの果てまで風のゆきわたる