添へ書きに心のなごむ賀状かな
梅香る里の夕暮牛の声
筍の力そのまま食卓へ
裸婦像の艶めきにけり走り梅雨
落石の音雲海を突き抜ける
風鈴の短冊変へて風変はる
夕暮の三和土に残る暑さかな
手の振りを眞似て飛び込む盆踊
黑雲を駆け下りて来るはたた神
コーヒーの香る山小屋秋隣
水門を閉ざして二百十日かな
一人居の無聊の日なり林檎剝く
初雪や山小屋鎖す釘の音
狐火の消え杣山の闇深む
鎭もれる一村なべて雪の中