催しの多き掲示や水ぬるむ
花の雨画廊明るく灯りをる
初蝶の草に離れず即かず舞ひ
春雷を逃げて束の間図書館へ
柳絮飛ぶ山のホテルの赤い屋根
諦めの果ての草笛音立てり
荒畑の一抱へ咲く矢車草
吹かれきてつと離れゆく草の絮
ががんぼの足持て余す硝子窓
寄せ来たる風の重たき稲穂波
ときをりの風に零るる芋の露
草に跳び草より淡き飛蝗かな
野の風をまとひて供華の吾亦紅
風の息詰めてふうせんかづらかな
風花の一つが窓をよぎりけり