ゆるやかな利根の流れや十三夜
要石地中に深し秋の声
神杉の幣に日の射す春隣
干拓地菱喰の棹鹿島立つ
群れ翔ちて棹大揺れの帰る雁
里山に鳶の鋭声や秋立ちぬ
悠久の流れ静かや水の秋
蓮掘りの蓮に被せる荒莚
蓮掘りの終へたる水に鷭の群
磯宮の千木剣なす寒日和
春の虹霞ヶ浦を大跨ぎ
風化せる横穴古墳藪椿
岩肌を水迸る花木五倍子
神饌の藁の匂ふや青葉風
鳰の子の一羽潜りて一羽浮き