買初の五色のテープ海に消ゆ
一島をうたひ尽せり卒業歌
故郷の水を吐きつつ海鞘切らる
船で来る地質学者や麦の秋
夕凪や島より帰る豆腐売
正調のしみじみ訛る踊歌
台風来なまあたたかく生臭く
十六夜に海出るときのかすり傷
真直ぐに漕ぐはむつかし鰯雲
乾拭きの空でありけり雁渡し
砲身に弥勒の文字や勇魚捕
流木を井桁に浜の大焚火
海峡の往きも還りも毛糸編む
海苔の篊波座に重く従ひぬ
みちのくのちひさな出船雪の果