遠富士の紫雲頂く初景色
小千鳥となりて初日の流れ出す
臘梅の花びらにある空の青
御輿倉幣のふくらむ花の風
砂に沁む音を残して青葉潮
梓若葉左方の舞の緋の襲
青葉風咽の奥みせ鳴く孔雀
酒醸す門扉を塞ぐ蜘蛛の糸
紛れ来し蟋蟀と夜を共にせる
大海に出て八月の涼のあり
防人の越えし峠や萩は実に
立て掛けし大豆の莢が弾け出す
残菊の日に返す香のありにけり
春暁の色のさめゆく日の出前
良寛のまり歌の十御滅灯