御船手の名残りの町の梅の花
初花やまだ数へらる花の数
法螺の音や修験の道の苺畑
蔵元の楠は霊木彼岸西風
日本海防風林の緑立つ
木の影も吾が影も濃し梅雨の晴
合歓咲けり家も棚田も野面積み
若人の声や艇庫に夏来たる
暑気払ひとは自由なる吾が時間
波形に残る藻屑や土用入
山清水すなはち生活水とせり
大西日受く釣人のシルエット
嬰児の髪すぐ乾く秋立つ日
歯朶山の奥より水や日脚伸ぶ
極月の風に錆ふく歩板