湧き立ちて浮雲となる花辛夷
囀の真中に画架を組みにけり
鯉はねて黄菖蒲の影乱しけり
落蟬の終の命や足たたむ
着水の音をひとつに番鴨
冬霧の晴れて俄に街動く
雪ばんばそつと耳打ちしてゆけり
己が名を忘れし姉よ着ぶくれて