雪形の駒へ朝の校歌かな
連翹のひかりの端を出棺す
調律の窓の高さに花水木
飛ぶときは声を弾みの雀の子
石仏も垣のひとつに竹の秋
砂時計日永の砂をまた落とす
病み抜けし目に十薬のなつかしき
故郷の罌粟は坊主に山雨急
鵙の晴わが晩節に声なくも
顔ほどの星の杖持つ聖夜劇
着膨れてかごめかごめの影長し
悴むや廊に廊つぐ永平寺
かまくらに大き影もて燭をつぐ
牛鳴いて信濃におらが寝正月
臘梅や御簾を上げおく源氏の間