立春の波に裾濡る磨崖仏
残雪と言へど丈余の注連寺
春祭床踏み鳴らす猿田彦
風光る虎舞太鼓屋根に据ゑ
月潟の祭太鼓に樽加へ
縁先に掛けて瑠璃聴く五合庵
筒鳥の筒の楽なす祝詞かな
千切れ飛ぶ雲に触れ咲くちんぐるま
下北も蝦夷も染めたる大夕焼
蟬しぐれ秘仏開扉の立石寺
生餅を焼いて味噌塗る盂蘭盆会
団栗を踏んで師の墓詣でけり
更けて酌む羽黒の神の濁り酒
切り倒す杉をむささび飛び出せり
どんど火に鯣あぶりの竹並べ