風一日目籠を洩るる余寒かな
芽のすでに桔梗の色となりてゐし
なほ固きグリスにもがき車結む
鳴き暮れて雉の重たく翔ちにけり
諸葛菜一色といふ力かな
はくれんの開ききつたる穢の初め
蝮草風あるときは咬むしぐさ
袈裟がけに桜蘂降る山路かな
黒穂抜くたびに会話のとぎれけり
仏壇の母へかたよる花海芋
棕櫚の花グリム童話を倦みし子に
水口の脈搏つてをり田水張る
田植機の及ばぬ隅は手がうごく
萍のぐらりとまはり流れ出す
落ちし子に声が付ききり親鴉