宮の火の爆ぜて初髪焦がしけり
赤べこの干支の根付けを買初に
五目飯に叩きて散らす山椒の芽
過疎の地に残る藁屋根濃山吹
蝌蚪生るる出城の濠の日溜りに
跳ねる枝肩で押さへる袋掛
碾きたての新蕎麦匂ふ水車小屋
砂噴きて富士の水澄む柿田川
秋寂ぶや塗りの薄れし懺悔台
結び昆布ほぐれ初めたるおでん鍋
時雨れては又日の差せり遠弥彦
警策の音のはつしと時雨寺
雪霏々と瞽女踏み行きし峠道
露座仏の台座に積もる細雪
相次ぎて師の逝かれけり寒月光